■プレイヤーは絶対にわきまえるべし

 それと同じように多いのが、「タンカの正しい乗り方」を知らないふとどきな選手である。

 おっと、「タンカに正しい乗り方などあるのか?」という質問がきそうだ。ある。もちろん、私が考えたものだが……。いろいろ調べても、「正しい乗せ方」はきちんと指導されているようだが、「乗り方」の指針はみつからなかった。救急搬送の対象になるのは重傷者や重態の患者なので、本人に乗り方を指導する必要などないためと思われる。

 しかしサッカー場でタンカを使うときは少し違う。なかには足がつっただけで「乗客」になる選手もいるからだ。頭を打ったときは別だが、サッカーの負傷は圧倒的にひざから下の場合が多く、痛みはあっても意識はしっかりしている。しかし歩くのはつらいからタンカに乗せてもらうのだが、乗ったものの、上半身を起こしている選手が驚くほど多いのだ。

 コーチたちは何を教えているのかと言いたい。タンカに乗る練習をしろなどとは言わないが、せめて「正しい乗り方」だけは、若いうちにすべての選手に教えておいてほしい。タンカに乗るときには、どんな部位の負傷であろうと、きちんと頭をつけ、あおむけに寝て乗らなければならないのだ。ひざも立ててはいけない。こう乗らないと、自分だけでなくタンカ要員まで危険にさらすからだ。

PHOTO GALLERY タンカの乗り方がまったくわかっていないセバスティアン・ソリア(アル・アラビ)写真:AFP/アフロ
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