■最後まで順位争いが続くJリーグ
最初に、各リーグ戦の現状をおさらいしておこう。
まずJ1リーグでは川崎フロンターレが4試合を残して早々に優勝を決めた。そして、その後もガンバ大阪とセレッソ大阪の間で2、3位争いが続いていたが、G大阪がもたつく間に名古屋グランパスが3位に食い込み、さらに鹿島アントラーズも徐々に順位を上げてきており競争は激化している(2位に入れば天皇杯出場権が与えられ、3位以内ならACL出場権。天皇杯が変則方式となった関係で4位のクラブもたぶんACL出場が可能になる)。
一方、J2リーグでは優勝および昇格争いが最終節までもつれそうだ。
徳島ヴォルティスが勝点でリードして昇格決定に王手をかけているものの、第39節、第40節で勝利を手にすることができずに足踏み。アビスパ福岡とV・ファーレン長崎にもまだ昇格あるいは優勝のチャンスが残されている。とくに、12月20日の最終節には福岡対徳島という直接対決が控えているので、徳島としてはその前に(第41節の大宮アルディージャ戦で)昇格だけでも決めておきたいところだ。徳島は得失点差で大きくリードしているが、今年のJリーグは得失点よりも直接対決の結果の方が優先される。
J3リーグではブラウブリッツ秋田が無敗のままで独走して優勝を決定したが、優勝を決めた後は勝点を伸ばせない状態が続いている。そういえばJ1で独走して優勝を決めた川崎も優勝決定後は引き分けに持ち込まれる試合が多くなっている。やはり優勝が決定してしまうと緊張感が失われるのであろう。いずれにしても、J3リーグは長野パルセイロ、SC相模原、FC岐阜の3チーム間が勝点3の差で並ぶ中で最終節を迎えることとなる。
新型コロナウイルスの感染拡大のため、中断直後の3月、4月頃にはJリーグが実施できるかどうか予断を許さない状況にあったが、そんな中いち早くプロ野球と共同で再開に向けてのプロセスを開始し、6月末から無観客(リモートマッチ)でシーズンを再開。徐々に観客受け入れ人数を増やしながら、すべての日程を消化してリーグを成立させたのは素晴らしい対応だった。
日本社会全体を見渡しても、Jリーグほどこの難しい状況にうまく対応した組織はなかったのではないだろうか。
それだけに、最後まで順位争いなどが盛り上がったのはJリーグにとってもありがたいことだったのではないか。“残留争い”という命を削るような争いは見られなかったものの、J1からJ3まで各リーグで最後まで順位争いの面白さが続いたのだから……。