■岩渕真奈と田中美南の強力ツートップ
そして、神戸にとって最大の武器は最前列の岩渕真奈と田中美南の強力ツートップだ。
ともに、日本代表のFWである。神戸は相手にボールを保持されて、下がり気味で守備をせざるを得ないが、ボールを奪った位置がかなり後方であったとしても、前線でこの2人がしっかりとターゲットとなってくれるので攻撃の形を作ることができるのだ。
開始わずか5分の神戸の先制点も、まさに各自の個性が生きたゴールだった。
自陣内で伊藤が相手のパスをカットしたところから始まり、岩渕がつないだボールを阪口萌乃が浮かせると、フリーで抜け出した田中がワンタッチでベレーザ・ゴールに流し込んだもの。田中は昨シーズンまではベレーザに所属しており、なんと4年連続得点女王のタイトルを獲得していた。その田中が、今シーズンは神戸に移籍。古巣相手にそのシュート技術の高さを示したゴールだった。
その後も、神戸の強力ツートップは、2人の間のパス交換だけで何度かの決定機を演出して見せた。そして、19分にもやはり伊藤が起点となって、今度は田中が絶妙のスルーパスを通し、岩渕がフリーで抜け出して追加点を奪った。
2点のビハインドとなってもベレーザは落ち着いてパスを回し続けた。一方、神戸は開始直後こそ相手のパス回しに振り回されたが、途中からはしっかりとラインを作って、相手のポジションチェンジに惑わされることもなくなった。
前半のうちにPKを獲得して1点を返したベレーザは、後半に入るとさらに追撃の手を強めた。
前半はトップ下だった小林を右サイドに回し、右にいた長谷川唯を中央でツートップ気味に置くなど、選手交代も使いながら次々と選手の配置を変更して1点を追った。複数ポジションをこなせることがこのチームの強みでもある。