■ショートカウンターが強力なセレッソ大阪堺
今シーズンも、森監督体制2年目となる浦和の成長は最大の注目点だった。
実際、浦和は第3節でベレーザと対戦して完勝してみせる。
昨シーズンの対戦では「浦和が大善戦」という印象だったが、今シーズンの対戦では、スコアこそ1対0だったものの内容的に浦和が完全にコントロールした試合だった。
「これで、このまま浦和が首位を走るか」と思われたのだが、次の第4節で浦和が不覚を取ったことでリーグ戦は混戦の様相を呈してきた。浦和を破ったのは、なんと今シーズン1部に昇格したばかりのセレッソ大阪堺だった。
C大阪堺も第3節まで3戦全勝でスタート。そして、初めての上位との対戦となった浦和戦でも、20歳代前半の若い選手が多いC大阪堺は臆することなく戦って勝利して単独首位に躍り出たのだ。前線から組織的な守備を行い、しっかりと狙い通りの形でボールを奪ってショートカウンターを発動するという、戦術的にしっかりしたサッカーでの勝利だった。
今シーズン、J1リーグでもたとえば横浜FCのように組織的な守備をベースにしっかりとつなぐ攻撃で上位を苦しませる、戦術的に戦えるチームが出現した。時を同じくして、なでしこリーグでもJリーグと同様の傾向が見られるのが興味深いところだ。
カマタマーレ讃岐やFC岐阜を指導した北野誠を監督に迎えたノジマステラ神奈川相模原も、戦術的にしっかりした守りで上位を苦しめている。試合の流れに応じて次々と選手交代のカードを切ってくる北野監督を見ると、さすがにJリーグ監督経験者の能力の高さを思い知ることとなる。