日本のサッカー界でも、さまざまなことが起きた２０２５年。Ｊ１では鹿島アントラーズが９年ぶりにタイトルを手にし、そしてＪ２では「番人」とまで言われた水戸ホーリーホックが史上初となるＪ１昇格を果たした。一方、日本代表はワールドカップ出場への準備を進める中、史上初めてブラジル代表に勝利し、なでしこジャパンは新監督の下、苦戦を強いられている。ワールドカップが開催される２０２６年に向けて、ベテランのサッカージャーナリスト大住良之と後藤健生が２０２５年の日本のサッカー界を「総括」。そして、２０２６年の「展望」を語り合った！
■良いチームをつくる人と勝たせる人は｢違う｣？
大住「今年は言わば戦国リーグで、最終節が終わった時点でトップにいたのが鹿島アントラーズだった、という感じかな。戦国リーグで鹿島らしさを発揮して、やるべきことをやり抜いたということで称賛されるべきだと思う。だけど、圧倒的な優勝ではなかった」
後藤「ただ、勝負強さというのは、これからけっこう大事なテーマになると思うよ。今年のＵ－２０ワールドカップのラウンド１６で、日本は内容ではフランスを圧倒しながら０－１で負けた。ああいう試合で勝ち切るメンタリティーの重要性を、これから日本は考えていかないといけないと思う。そういう意味で、勝つんだといって勝った鹿島はすごいと思います。９月に広島でＡＣＬエリートの試合を見たんだけど、サンフレッチェ広島は上海のチームを圧倒して攻め続けていたのに、追加点を取れずに１－１で引き分けた。試合の後の記者会見で、今年を象徴するような試合だったと、ミヒャエル・スキッベ監督が言っていた。監督がこんなことを言っていたら優勝できないと思ったけど、そうじゃないところが鬼木監督の偉いところだね」
大住「そうだよね。川崎フロンターレを率いている頃から、そういう勝負にこだわる監督だったからね」
後藤「良いチームをつくる人と勝たせる人というのは、違うのかな。ミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下で優勝できなかった広島が森保一監督に交代したら３回優勝したし、風間八宏監督がどうしても優勝できなかった川崎も、鬼木監督が就任したらバタバタと優勝した。内容と結果の両方を、１人の監督がもたらしてくれるとすごく良いんだけどね」
大住「じゃあ、来年の柏レイソルを鬼木監督が率いたら、圧倒的な強さで優勝するかな」
後藤「そうだね（笑）。どんなチームでも勝たせることができるということは、鬼木監督は代表チームに向いているかもしれない。日本代表で森保一監督の後任を選ぶときには当然、名前が挙がるだろうね」
