■「決して安全ではない」横のプレー

 かつて、川崎フロンターレを指導していたときの風間監督のサッカーは、けっして攻め急がないものだった。「走る必要はない。ボールを動かし、自らが1メートル動くだけで選手はフリーになれる」というのがフィロソフィー(哲学、信条)だった。

 だが、南葛SCの攻撃は非常にスピーディだ。ボールを持って、パスをつなぐのは当然として、常に前に前にと縦にパスをつないでいく。

 南葛SCというと、元日本代表今野泰幸大前元紀が所属しているので、つい元Jリーガーのベテランが多いような印象をお持ちの方もいるだろうが、今のチームは若いチームで、たとえば最終節の先発11人のうちGKの飯吉将通とCBの柳裕元(りゅうゆうぉん)以外の9人は、すべて2000年以降の生まれの選手だった。

 その最終節の「マッチデープログラム」に、こんな話が掲載されていた。

 風間監督が前節の試合(対流通経済大学ドラゴンズ龍ケ崎)を振り返って「ものすごく“横”のプレーが多かった。横に味方がいるからパスを出す。これは決して安全ではない。一番安全なのは“前”に攻撃し続けること」とメッセージを送ったというのだ。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4