【2025年J2「第10節」ヴァンフォーレ甲府VSV・ファーレン長崎「徹底分析」】ブロックを敷いた相手を崩せない“J1昇格候補”長崎…10節終了時で勝点15が意味すること【戸塚啓のJ2のミカタ】(2)の画像
ここからアクセルを踏むことが求められる長崎・下平隆宏監督  撮影/中地拓也
【前編に戻る】

■長崎は3戦連続クリーンシートの甲府の守備を崩せず

【J2リーグ第10節 4月19日 14時04分キックオフ 甲府 1ー1 長崎 JIT リサイクルインク スタジアム】

 今シーズンのJ2は予想がつかない。毎節のように驚きがもたされている。

 4月19、20日に行なわれた第10節では、16位のブラウブリッツ秋田が3位のジュビロ磐田を下した。ここまで3分6敗と勝利のない(昨年8月18日を最後にJ2リーグ戦で勝っていない)19位の愛媛FCが、アウェイでJ1昇格候補のモンテディオ山形を3対2で破った。

 15位のヴァンフォーレ甲府対6位のV・ファーレン長崎戦も、先の読めない展開で進んでいく。開始早々に長崎が先制したものの、15分に甲府が追いつく。前半は1対1で終了した。

 長崎はここまでリーグ2位の総得点を記録している。攻撃力を強みとするチームだが、前節は今シーズン初めて無得点に終わった。今節も2点目を予感させるような場面を作り出せない。

 長崎の下平隆宏監督は、69分にMF名倉巧とFW増山朝陽を下げ、MFマルコス・ギリェルメとFWフアンマ・デルガドを投入する。4―1-2-3のシステムでフアンマを頂点に置き、マルコス・ギリェルメが右ウイングに、マテウス・ジェズスがトップ下のような立ち位置を取る。

 マテウス・ジェズスが3トップ中央に立つそれまでのシステムは、彼が中盤に降りると最前線に誰もいなくなり、相手守備陣への圧力が薄れてしまうところがある。

 そもそも、マテウス・ジェズスはCFではない。相手を背負ってキープできるものの、本来は前を向いてボールを受けることで生きるタイプだ。69分の2枚替えによって、フアンマ・デルガドとマテウス・ジェズス、さらにはドリブルの推進力があるマルコス・ギリェルメの個性を生かせる配置となった。もっと言えば、前半から好クロスを配球している左SB高畑のクロスに、フアンマが飛び込むという形もできた。外国籍選手が「個」で違いを生み出せる環境が整ったのである。

 とはいえ、甲府の守備は整備されてきている。直近3試合連続でクリーンシートを達成しており、この日も守備は固い。長崎は81分にも2枚替えを行ない、90分には長身FW山崎凌吾を投入して圧力を強めたが、2点目を奪うことはできなかった。

  1. 1
  2. 2