■アルゼンチンで「アルパカ」目撃

 そのほかにも、各地で“珍獣”を見かけました。

 1979年に初めて中国旅行に行ったときには、上海の動物園でジャイアント・パンダを見物しました。1972年9月に日本と中華人民共和国が国交正常化すると、10月には上野動物園にパンダのカンカンとランランがやって来て「パンダ・ブーム」が訪れます。パンダは日本中の注目を集め、大変に大事にされていました。

 そのパンダを本場中国で見てみようというわけです。

 ところが、上野のパンダと違って上海の動物園のパンダは小さな檻に入れられて、あまり手入れもされていないのか、白い部分が茶色く汚れていたのです。「ああ、さすが本場だ」と僕はかえって感心したものですが……。

 1978年のアルゼンチン・ワールドカップを見に行くために、ペルーやボリビアを旅行しましたが、このときはアンデスの高原でリャマやアルパカを何頭も見かけました。どちらも、アンデス山脈にいるラクダ科の動物で、その体毛が高級な毛織物の原料となります。

 今では、日本でもリャマやアルパカは有名になっていますが、約半世紀も昔のこと、当時は僕にとってはかなりの珍獣のように思われました。

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