■適応だけでも「時間がかかる」Jリーグ
こうした日本人あるいは知日派外国人監督に対して、新しく日本にやって来た外国人監督は苦戦中だ。
横浜F・マリノスはこれまでのオーストラリア人監督路線をやめて、イングランドのスティーブ・ホーランド監督を招聘した。イングランド出身で同国代表のアシスタント・コーチという肩書が売りだが、かなり苦労している。
昨年の反省から失点を減らすことを重視した指導をしているが、その分、選手たちが消極的になりすぎ、これまでの横浜FMの大きな魅力だった攻撃力が見えなくなってしまっている。
植中朝日や井上健太、ジャン・クルードの成長。そして、新加入の遠野大弥の推進力など、これらがうまく噛み合えば、これまでのブラジル人トリオに依存しすぎた状態を脱却できる可能性もあるが、攻守のバランスを取るのにまだしばらくは時間がかかるだろう。
セレッソ大阪はオーストラリア人のアーサー・パパス監督を招聘。開幕戦ではコンパクトでアグレッシブな素晴らしい内容のサッカーでガンバ大阪を破ったものの、その後は、安定感を欠いたチーム状態で勝利から遠ざかって18位と低迷している。
新しく日本にやって来た監督たちにとっては、相手の良さを消し合うJリーグというリーグの特徴を掌握できず、また、監督の指示に忠実な(時には忠実すぎる)日本人選手のメンタリティーなどを理解できないので、監督がJリーグに適応することだけでも時間がかかる。