■王者・神戸にとっての「大きな救い」
いずれにしても、現時点では全38試合のJ1リーグのうち、まだ6試合が終了しただけだ。
どんなチームでも、どんな指導者でも、開幕前のキャンプでいくら積み上げを図ったとしても、実戦に入ると、さまざまな問題点が露呈する。「初期故障」のようなものだ。
そうした欠陥をどれだけ素早く改善させられるかも、監督としての大きな仕事である。
コンディション面も含めて、開幕当初は力が発揮できていなくても、開幕から1か月程度が過ぎたころにコンディションを上げて、また「初期故障」も改善して戦うのが優勝への道だ。
代表ウィークでJ1リーグは中断となる。
幸い(?)日本の場合、代表選手の大半が海外クラブ所属なので、Jリーグクラブは代表に選手を抜かれることなく、リーグ戦再開に備えることができる。
この中断の間で何ができるのか? そして、試合数が増えていく初夏から夏にかけてが、優勝争いにとっては最も大事な時期になるのだろう。
昨年の優勝、準優勝のヴィッセル神戸とサンフレッチェ広島は、ACLの負担が問題になるはずだった。とくに、ほとんどターンオーバーを使わない広島の場合、昨年も終盤で疲労が蓄積して失速した時期があった。神戸、広島は2024ー25シーズンも2025ー26シーズンもACLを戦うことになった場合、負担はかなり大きかったはずだ。
ところが、神戸も広島も、さまざまなレギュレーション上の問題が降りかかり、今シーズンのACLは敗退となってしまった。もちろん、アジアのタイトルを目指していたチームにとって大きなショックではあったろうが、少なくとも夏まではACLの負担から開放されたと考えることもできる。両チームはYBCルヴァンカップのファーストステージも免除されているので、一転して他のチームより余裕のある日程となった。
けが人続出の状況でスタートダッシュに失敗した神戸にとっては、ACL敗退は大きな救いとなったのではないだろうか。