■驚嘆した「ブラジル怪物」の超絶テク

 ロナウドというと、若いファンはクリスティアーノポルトガル代表)のことしか思い思い浮かばないかもしれない。だがブラジルのロナウドは、クリスティアーノに勝るとも劣らない天才選手だった。フルネームはロナウド・ルイス・ナザーリオ・デ・リマ、1976年9月22日ブラジル・リオデジャネイロ生まれのこのストライカーは、1990年代後半から10年間、間違いなく世界最高のサッカー選手であり、「怪物」と呼ばれた。

 16歳でプロ契約し、17歳でブラジル代表にデビュー。1994年のワールドカップ・アメリカ大会には、1958年のペレ以来となる「17歳でのワールドカップ・ブラジル代表」となったが、出場機会を得られず、21歳で迎えた1998年フランス大会でブラジル代表のエースとして活躍した。決勝戦の朝に原因不明の体調不良に襲われたが、ザガロ監督は試合直前に先発選手を入れ替えて彼を強引にピッチに送り出した。だがロナウドのプレーは本来の姿には遠く、ブラジルは優勝を逃した。

 しかし2002年のワールドカップ日韓大会では決勝戦まで8ゴールを挙げる活躍を見せ、ブラジルを5回目の優勝に導いた。2006年ドイツ大会でも3ゴールを記録、ワールドカップで通算15得点を記録して当時の最多記録をつくった。

 その「怪物」が2002年大会のトルコ戦でとっさに見せたのが、「トーキック」でのゴールだった。3人に囲まれながら繰り出した「超絶テクニック」に、私は驚嘆した。

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