■それぞれの置かれた立場

 汰木に関しても、2月24日のジュビロ磐田との開幕戦でゴールを決め、左アタッカーの筆頭と目されたが、3月2日の柏レイソル戦での負傷。長期間、試合から遠ざかったのが痛かった。4月末にはいったん復帰したが、またもケガに見舞われ、完全復帰が9月末までずれ込んだ。
 本人もここまで長い離脱は経験がなく、戸惑った様子だが、この時点ではチームがある程度、出来上がっていたこともあり、最後までジョーカー的な立ち位置のままだった。勝負を決定づけられるアタッカーだけにこの扱いは残念だ。移籍話も浮上しているが、もしかすると環境を変えた方がいいのかもしれない。
 神戸を追走するサンフレッチェ広島、町田ゼルビアも積極補強を進めているが、彼ら以上に人材入れ替えに積極的な印象があるのが名古屋グランパス。豊富な資金力を駆使して浅野雄也(札幌)、宮大樹(福岡)らを集め、選手層をさらに厚くして、優勝争い参戦を目論んでいるのだろう。
 ただ、名古屋の場合、他チームで活躍していた選手がやや伸び悩むケースがしばしば散見される。今季鳴り物入りでアビスパ福岡から加入した山岸祐也などは「もっとできる」と言われた選手の代表格だ。
 福岡時代2022・2023年と続けて2ケタゴールをマークしていた点取屋が今季はわずか2点というのは不本意というしかない。シーズン中に負傷離脱し、コンスタントな活躍がかなわなかったのも大きかったが、自分より年長の永井謙佑パトリック(来季から金沢)が6点という数字を残しているのを見ると、まだまだ足りないというしかない。2025年はエース級の点取屋になってほしいところだ。

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