■強豪国戦との対戦で注目される選手も

 最終予選において、2シャドーは南野拓実(モナコ)が6試合全てでスタメン、もう一枚は鎌田と久保が3試合ずつ先発出場したが、ウイングバックと同じく、必ずと言っていいほど選手交代が行われており、南野にしてもフル出場は最初のホーム中国戦だけだった。
 しかも、アウェーのサウジアラビア戦では後半から南野に代えて伊東が投入されると、伊東は右ウイングバックに、南野が担っていた右シャドーには堂安がシフトしたのだ。この最終予選で唯一、引き分けに終わったホームのオーストラリア戦では左ウイングバックでスタメンだった三笘が、久保に代わって投入された中村が左ウイングバックに入ると、左シャドーに回った。
 つまり3バック導入によって、4ー2ー3ー1ではサイドハーフのポジションを争う関係にあった右の伊東と堂安、左の三笘と中村を共存させられるようになった。特にドリブラー二人を並べる左サイドのユニットが、日本が世界と戦う上での武器になるかもしれない。このことは日本代表で最もタレントが充実している二列目のアタッカーを左右ウイングバックと2シャドーの4ポジションで活用できることを意味する。
 そのベースになるのは上記の通り、攻撃的なキャラクターでも守備でハードワークできる特性であり、そしてサイドとシャドーの両ポジションをこなせるタレントが多いことも、森保監督のそうした起用法を後押ししていることは間違いない。
 ウィングバックとシャドーに関しては、最終予選の残り4試合、その後のW杯の本大会に向けたラスト1年で、新戦力のテストも含めたバリエーションのアップ、そして組み合わせに応じたコンビネーションやクオリティのブラッシュアップが進められていくはず。
 もちろん相手が強豪国になればなるほどサイドの守備は厳しくなり、5バックで耐える時間帯も増えることが予想される中で、改めて菅原などサイドバックが本職の選手がスポットライトを浴びる可能性もあるが、ウィングバックとシャドーの選択肢が豊富になるほど、彼らを中盤から支えるボランチが固定的になりやすいだろう。

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