■「試合に出続けているとやっぱりよくなってくる」

 それでも山形は意気消沈しなかった。そこから途中出場の高橋潤哉が難しいところから同点弾を決めると、ラスト3分というところでリスタートから元清水の後藤優介が逆転弾をゲット。試合をひっくり返し、2-1で勝利。清水のJ1昇格決定を阻止したのである。
「立ち上がりはちょっと飲まれてる感じがありましたけど、徐々に自分たちのサッカーができるようになって、いい時間帯が続いたかなと。僕が代わるまでも何度かビッグチャンスあったんで、決めたいシーンはありました。でもその後、逆転してくれたんで、本当に毎試合毎試合、チームの成長を感じます」と土居は6連勝に大きな手ごたえを感じた様子だ。
 渡邉監督も新戦力加入効果を口にしていたが、土居本人は「僕は何もしていない」と謙虚な姿勢を貫いている。ただ、自分自身は鹿島で試合に出られない時期が長かった分、充実感を覚えているという。
「試合に出続けているとやっぱり(状態が)よくなってくる。心も体もあの頃とは本当に別人の感覚があります」と土居も本音を吐露したが、それこそが山形に赴いた最大の成果と言っていい。
 故郷・山形以上に愛着を持っていた鹿島を離れるという決断をするのは容易ではなかったはず。それだけキャリアを賭けた大きな選択をしたのだから、結果を残さないわけにはいかない…。その強い覚悟が今の土居のパフォーマンスにつながっているに違いない。
 J2もラスト3戦。覚醒した土居の一挙手一投足が山形の6位以内確保の行方を大きく左右するのは間違いないだろう。
(取材・文/元川悦子)
(後編へつづく)

(2)へ続く
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