■土居の凄みが垣間見える1シーン

 この日の清水戦は相手が頭抜けた気迫で向かってきたこともあり、前半はやや苦しい展開を強いられた。相手に攻め込まれ、耐える時間も多かったが、17分には高い位置でのボール奪取から背番号88がペナルティエリア外側から思い切ってシュート。これは元日本代表GK権田修一に阻まれたものの、「積極的に点を取りに行く」という土居の姿勢が色濃く表れていた。
 0-0で迎えた後半。山形は攻撃のギアを一気にアップ。ディサロ、土居、イサカ・ゼインの前線3枚で推進力ある攻撃を見せるようになる。開始4分には中盤でインターセプトして、イサカ、ディサロ、イサカと渡り、右クロスに反応した土居がゴール前に滑り込むという決定的なチャンスが生まれた。
 この日、メディアの一員として記者席で見ていた解説者の鄭大世氏は「ストライカーコーチとして今季何度か山形に行ったが、前半戦はいいサッカーをしていたのに点が取れなかった。それが土居の加入で全てが解決した」と語っていたが、まさに土居の凄みが垣間見える1シーンだったと言っていい。
 その後も背番号88は攻撃陣をけん引。後半29分に下がることになった。清水のエース・北川航也の先制弾が生まれたのはその直後。土居にしてみれば悔しさひとしおだったことだろう。

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