■引き分け以上で「広がる」予選突破の可能性
しかし、具体的な論拠を示さずに、ただただ「難しい試合になる」と伝えることは、真実の報道ではない。「誤報」あるいは「フェイクニュース」なのではないか?
日本代表戦を放映する地上波のテレビ局が「絶対に負けられない戦い」と称するのは、これはいわゆる「煽り」であり、「番宣」なので、ジャーナリズムではない。
彼らは、ワールドカップ本大会で日本代表が強豪国と対戦するときになると、今度は逆に「日本は最強だ」「絶対に必ず勝てます!」と言い出すのだ。もはや、これは報道ではない。
しかし、そういう立場にない中立を旨とすべきジャーナリストは「絶対に負けられない」といった言葉に乗っかる必要はないのではないか。
ただ、もちろん10月の2試合は強豪相手。とくに、サウジアラビアとのアウェー戦は警戒すべきだろう。
だが、同時にプラス材料もある。10月のジッダでの試合は当然、高温の下での試合となる。手元の予報サイトによれば、10月10日のジッダは、最高気温36度となっている。だが、日本の選手たちは9月にバーレーンですでに高温多湿の条件下での試合を、そして勝利を経験している。良いイメージを持って戦えるはずだ。
また、ヨーロッパで活躍する選手たちにとっては、ジッダまでの移動距離は短くて済み、ヨーロッパ中央時間とはわずか2時間しか時差がない。
いずれにせよ、10月10日のサウジアラビアとのアウェー戦を引き分け以上で乗り切れれば、予選突破の可能性は大きく広がるはずである。そうすれば、日本中が楽観論に塗り替わるはずだと思うのだが……。