■「本当に敬服せざるを得ない」選手のプレー

 普通のチームだったら、スコアが2対0や3対0になったら、それ以上、点を取りに行ったりせずにゲームを終わらせようとすることだろう。気を抜いて、相手に隙を与えて1点返されたりするのも、よくあることだ。

 だが、ふだんはヨーロッパの一流国のトップクラスのクラブでプレーしている日本の選手たちは、最後まで集中して戦っている。3バックでの戦いだったら、アウトサイドに起用された三笘薫とか堂安律といったアタッカーが、守備の仕事でも力を抜かない。

 相手が強豪だったら全力でプレーすることは当然かもしれないが、明らかに格下の相手であっても、日本の選手たちは手を抜くことをしない。その姿を見ると、本当に敬服せざるを得ないのだ。

 だから、選手たちやスタッフが「楽な試合はない」と言って、慢心を諫めるのは当然のことだ。

 だが、ジャーナリストや評論家は客観的な「事実」を伝えるのが仕事のはずだ。

 日本とアジア諸国の間には大きな実力差があるという「事実」を踏まえれば、最終予選勝ち抜けのチャンスはかなり大きい。また、グループ内の実力下位のチームとの試合であれば、それほど苦戦する可能性は低いということを客観的に伝えるべきだ。

 だが、日本では彼らは一様に「警戒論」を口にする。まるで、「『楽観論』を口にするのは素人だ」と思い込んでいるように、だ。

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