■山形は昇格候補の千葉を下して白星発進
2月24、25日に開幕節を終えたJ2は、リーグ内の力関係が少しずつ見えている。
J1昇格候補の筆頭格は、昨シーズン4位の清水エスパルスだ。秋葉忠宏監督が指揮するチームは、ロアッソ熊本とのアウェイゲームを2対1で制した。
昨シーズン5位のモンテディオ山形は、同6位のジェフユナイテッド千葉とアウェイで対戦し、3対2で競り勝っている。渡邉晋監督が指揮する山形では、オフの移籍市場で左SB小野雅史、CB野田裕喜、MF藤田息吹らが移籍を選択し、23年チーム得点王のMFチアゴ・アウベス、FWデラトーレが母国ブラジルのクラブへ戻った。複数の主力を失ったわけだが、彼らの穴を埋める戦力は確保した。
左SBとCBの候補として、徳島ヴォルティスから安部崇士を獲得した。開幕節はプロ3年目の吉田泰授に左SBの先発を譲ったが、対人プレーに強い左利きの安部も出場機会をつかんでいくに違いない。
チアゴ・アウベスが担っていた4-2-1-3の「3の左」には、ベガルタ仙台からMF氣田亮真を迎えた。縦への推進力を持ったサイドアタッカーである。「3の右」を担うイサカ・ゼインのクロスに合わせて飛び込むことで、得点を増やすことも可能だ。背番号10を託されたことからも、氣田にはキャリアハイの6ゴールを上回る数字が期待される。
昨シーズン10ゴールのFW藤本佳希が軸となる前線では、FW高橋潤哉が千葉戦で結果を残した。後半開始から起用されると、2ゴールを叩き出したのだ。
新加入のFWでは、いわきFCから有田稜が加入している。プロ3年目の24歳は、22年シーズンのJ3得点王だ。J2初挑戦の昨シーズンは39試合出場で3ゴールに終わったが、185センチのサイズは魅力的だ。開幕節はメンバー外だった彼が試合に絡んでくると、攻撃の選択肢は確実に増える。
MF登録の選手では、松本凪生と杉山直宏がスカッド入りした。松本はセレッソ大阪からの期限付き移籍で、過去2シーズンはヴァンフォーレ甲府でセントラルMFを担ってきた。杉山はロアッソ熊本がJ1参入プレーオフへ進出した22年に、全42試合に出場して9ゴールを叩き出したアタッカーだ。23年シーズンはガンバ大阪へステップアップしたが、再びJ2から自力を蓄えていくこととなった。
その松本と杉山は、開幕戦はベンチスタートだった。有田はメンバーにも入っていない。山形の選手層がそれだけ充実しており、クオリティを持った選手を11人プラスアルファのボリュームで揃えている。J1自動昇格の2位以内は射程圏だ。
J2リーグの開幕節でモンテディオ山形に敗れたジェフユナイテッド千葉も、クオリティを持った選手を揃えている。こちらもJ1昇格候補である。