■終わらない挑戦

 2月からほぼ休むことなくJ2の全42試合を戦い抜いた末、甲府の手に残ったものは、目標にあと一歩及ばなかった「8位」という成績だった。しかしスタンド前まであいさつにきた選手たちに対し、遠方からかけつけ、冷たい雨のなか最後まで声援を送り続けた甲府のサポーターたちは涙を流しながらも温かい拍手を送った。そしてひとりのサポーターが大きな声で叫んだ。それは選手たちだけでなく、自分たちに向けての声でもあった。

「この悔しさを、ACLで晴らそう!」

 そう、J2の戦いは終わったが、今季の甲府にはまだ大きな「チャレンジ」が残っている。AFCチャンピオンズリーグ(ACL)でのグループステージ突破である。

 アジアのクラブ・チャンピオンを決めるこの大会に、甲府が出場権を得たのは昨年の天皇杯だった。吉田達磨監督の下で戦った甲府は、3回戦で北海道コンサドーレ札幌に2-1、ラウンド16でサガン鳥栖に3-1、準々決勝でアビスパ福岡に2-1(延長)、そして準決勝では鹿島アントラーズに1-0と、J1勢を4試合連続で下して決勝進出。そして決勝戦でも強豪サンフレッチェ広島と互角に渡り合い、延長戦まで戦って1-1、PK戦ではGK河田晃兵が活躍して5-4で競り勝ち、見事初優勝。「カップ・ウィナー」の資格でACL出場が決まったのだった。

(2)へ続く
  1. 1
  2. 2
  3. 3