■アグレッシブな守備の台頭
J1のサッカーが昨年までとは違うことの1つの理由は、川崎、横浜FMのタイトル独占を阻むべく、他のチームが戦い方を工夫してきたことだ。守備を強化して堅い守備でボールを奪ってショートカウンターによって得点して勝利をつかみとる。そんな、サッカーを徹底してきたのだ。
象徴的なチームが、現在、横浜FMと激しい首位争いを展開しているヴィッセル神戸だ。
数年前にはバルセロナ流のポゼッション・サッカーを標榜し、そのバルセロナの全盛期を牽引したアンドレス・イニエスタを加入させた神戸。だが、結局、天皇杯のタイトルを獲得したものの、リーグ戦では不安定な成績が続いていた
そして、低迷した昨シーズンの途中に就任した吉田孝行監督は「堅守速攻」のスタイルでチームを立て直した。チームのスタイルの変化によって出場機会を失ったイニエスタが夏の間に神戸を離れたのは、実に象徴的な出来事だった。
また、カウンター・サッカーを得意とする長谷川健太監督率いる名古屋も、FC東京時代から長谷川監督がカウンター・サッカーを仕掛ける時に重用してきた永井謙佑を獲得。さらに今シーズンは決定力の高いキャスパー・ユンカーも加えて、カウンター・サッカーに特化した顔ぶれをそろえ、3位の位置をキープしながら虎視眈々と横浜FM、神戸を追っている。
その他にも、神戸や名古屋ほどのチーム力はないチームでも、アグレッシブな守備をすることで川崎や横浜FMのような攻撃サッカーを封じるチームが増えていているのだ。