■スペイン戦からの変化
こうして、同点に追いつかれたものの、日本は終盤まで相手にほとんどチャンスは与えなかった。
そして、後半も左サイドでチャンスを作って、50分にはゴール前で長谷川唯や田中美南が短いパスを交換するとボールは右サイドにこぼれ、最後はWBの清水梨紗が決めて日本は再びリードする。
細かいワンタッチ・パスの交換はノルウェーのような大型DF相手には効果的だ。スペイン戦ではカウンターに徹した日本だが、ノルウェー戦ではそれとは違った狙いを持っていたのだ。
終盤になってノルウェーは大型選手を次々に投入して最後の反撃を試みてきた。「高さ」が日本の最大の弱点であり、ノルウェーが同点に追いつくとすれば、それ以外の選択肢はなかった。
しかし、日本のDFはゴール前に放り込まれても最後まで粘り強く競りかけてゴールを死守。GKの山下杏也加の好セーブもあって同点を許さず、そして81分、相手が攻撃に出た裏を取ってスペイン戦の際限のようなカウンターから、この大会のラッキーガールの宮澤が決めてノルウェーを突き放した。
「相手が総攻撃に出てきた裏を取ってダメ押し点を決める」というのはサッカーの定石の一つだろうが、それを実際に遂行してしまうのは大したものである。
前半、この大会初の失点を喫しはしたものの、ノルウェー戦も日本の完勝だった。