常に移り変わるサッカー界の流れに、新たな潮流が生まれようとしている。世界の名手を大金で集めるサウジアラビアだ。その存在は、サッカーにどのような影響を及ぼすのか。サッカージャーナリスト・大住良之が目を凝らす。
■ネイマールに900億円
サウジアラビアでは外国人選手を8人まで登録できるが、現時点でのアル・ヒラルの外国人選手は新たに加わった3人のほか、ペルー人FMアンドレ・カリージョ、そしてともにブラジル人FWであるマルコンとミシャエル、マリ代表FWムサ・マレガ、そして韓国代表DF張賢秀となっている。
そしてさらに、メッシ獲得の失敗を補って余りある「ビッグネーム」の獲得にも動いている。去就が注目されているパリ・サンジェルマンのフランス代表FWキリアン・エムバペである。パリ・サンジェルマンとの契約下にあるエムバペの獲得には移籍金が発生する。現時点での移籍金の世界記録は2017年にブラジル代表FWネイマールがバルセロナからパリ・サンジェルマンに移籍したときの約2億ユーロだが、アル・ヒラルは3億ユーロ(約900億円)を提示しているという。これに同額程度の年俸が加わると…。
アル・ヒラルだけではない。アル・イテハドはスペインのレアル・マドリードからフランス代表FWであり昨年の「バロンドール」受賞者でもあるFWカリム・ベンゼマを、イングランドのチェルシーから同じくフランス代表のFMエンゴロ・カンテを獲得した。2人ともケガで昨年のワールドカップには出場できなかったが、それ以前は不動の地位を保っていた選手で、ともに前所属クラブとの契約が切れた後だったため移籍金は発生しなかったが、年俸はベンゼマはクリスティアーノ・ロナウドに匹敵し、カンテも優に100億円を超すらしい。またスコットランドのセルティックで古橋亨梧、前田大然とともに攻撃を牽引していたポルトガル人FWジョタ(ジョアン・フェリペ)も、このジッダのクラブに移った。