アル・ナスルはイタリアのインテル・ミラノからクロアチア代表MFマルセロ・ブロゾビッチ、フランスのRCランスからコートジボワール代表MFセコ・フォファナ、そしてイングランドのマンチェスター・ユナイテッドからブラジル代表FWアレックス・テレスを獲得。アル・アハリはイングランドのリバプールからブラジル代表FWフィルミーノ、そしてチェルシーからセネガル代表GKエドゥアール・メンディを獲得した。

 過去10年間の欧州サッカーのビッグクラブによる移籍金の急騰は、それまでのサッカーの常識を覆すような「クレージーさ」を見せていた。しかし今回のサウジアラビアの「爆買い」の嵐は、それをどこかに吹き飛ばしてしまう衝撃だ。

■広がる格差

 サウジアラビアがトップリーグを完全プロ化したのは2007年。現在は1部18クラブで構成されている。最も人気が高いのは紅海に面する商業都市ジッダをホームとするアル・イテハドで、毎試合4万人を超すファンがかけつける。しかし他のクラブは、近年のACLで2回の優勝を飾っているアル・ヒラルでさえ、昨季までは1万人に達しなかった。世界的なスター選手の加入で、リーグの入場者数が急増するのではないかと言われている。

 ただ、PIF支配下の4クラブと他のクラブとの「格差」がさらに開いてしまうのではないかという懸念もある。2007年に完全プロ化した後の16シーズンでチャンピオンとなったのは、アル・ヒラルが8回、アル・ナスルが3回、アル・イテハドが2回、アル・アハリが1回と、「ビッグ4」だけで14回、実に88%を占めている。その「寡占」がさらに強まるのではないか…。

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