得点不足の柏レイソルを刺激した「100年前のスタイル」【柏レイソル対北海道コンサドーレ札幌「4対5」のスペクタクルをもたらした「ミシャ」の手腕】(3)の画像
日本サッカーに刺激を与え続けるペトロヴィッチ監督 撮影/原壮史
 前節のJ1リーグでは、見応えのある一戦が繰り広げられた。柏レイソル北海道コンサドーレ札幌による「4-5」という両チーム合わせて9ゴールが生まれた試合である。このゲームの根底を、サッカージャーナリスト・後藤健生が読み解く。

■システムは「2-3-5」

 浦和レッズ時代の「ミシャ式」では、前線に5人のアタッカーが並んでしまうと、かえって動きがなくなって怖さがなくなっていた。だが、柏戦では正確なロングボールを使うことで、両WB=事実上のウィンガーの存在は非常に有効であった。

 つまり、ボールを保持したところからWBやCBが攻撃に出ていくというよりも、ボールを奪った瞬間、さらに言えば、ボールを奪う前からWBやCBは攻撃のためのポジションを取っていたのだ。

 つまり、もし札幌の攻撃の局面での選手の配置を数字で表現すれば「2-3-5」だったということになる。

 2-3-5というのは、1920年代までのサッカーの主力システムだ。フルバック(FB)2人で守備をして、3人のハーフバック(HB)が攻守をつなぎ、両ウィングとセンターフォワード(CF)。それに、やや下がり目の左右のインナーの5人のFWが攻撃をするシステムだ。

 その後、1925年にオフサイド・ルールが変更となり、従来はGKを含めて守備側の3人目の位置がオフサイド・ラインだったのが「GKを含めて2人目」と変わった。変更以前はオフサイド・トラップが多用された。“後ろから3人目”によるトラップをかわされても、さらにもう1人FBがいたからだ。だが、ルールの変更によってオフサイド・トラップが難しくなると2人のFBだけでは守りきれなくなり、3人のHBのうち中央にいたセンターハーフ(CH)が最終ラインに落ちてセンターバックとなり、スリーバックに変わった。

 これがいわゆる「WMシステム」で、1960年ごろまでの主流システムとなった。

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