■前半シュート数13本の猛攻
すなわち、北海道コンサドーレ札幌の攻撃時の選手の並びは100年前のツーバック時代と同じだったのである。ボランチの荒野拓馬と中村桐耶が最終ラインに残って、岡村大八までが攻撃に加わる時間もあったが、ボランチ2人は守備でも貢献した。長く札幌の中盤を支えてきた荒野とまだ22歳の中村も、難しいポジションをよくこなした。本来はCBである中村にとって、ボランチでの出場は初めてだったが、まったく無難にこなしていた。
こうして、札幌は5人のアタッカーたちから分厚い攻撃を繰り返した。さらに、シュートに対しても非常に積極的で、得点こそ3ゴールにとどまったものの、シュート数は前半の45分で13本に達した。
柏レイソルに2点目を奪われた時のプレーについては冒頭にも書いたが、左CKからのこぼれに対して、まず菅がシュートを放ち、これがブロックされたボールが駒井善成の前に転がり、駒井が強烈なシュートを放ったのだが、なんとこの場面では札幌で(GKの菅野孝憲を除いて)最も後方の位置にいたのが駒井で、その駒井がシュートを放ったのだ。だから、跳ね返ったボールが小屋松の前に落ちた瞬間、小屋松知哉の前には札幌ゴールまで無人のスペースが広がっていたのである。
リスクを厭わずに選手を前線に上げて攻撃を繰り返す。柏戦の前半45分は、まさに「ミシャ式」の完成形ではないかというようなスペクタクルだった。