■日本を刺激するミシャ式
ペトロヴィッチ監督の超攻撃的スタイルは、来日以来Jリーグのサッカーに大きな影響を与えている。2010年代に入ってJリーグに攻撃サッカーが根付いてきたのはまさにペトロヴィッチ監督の功績だ。最近では昇格争いが熾烈なJ2リーグでも攻撃サッカーが浸透してきているし、その波は最近になってJ3リーグや日本フットボールリーグ(JFL)にまで波及しようとしている。
そして、また、札幌の超攻撃的マインドはこの日の対戦相手である柏の選手にも影響した。
柏は5月の監督交代以来、得点不足に悩まされており、5月最後の鹿島アントラーズ戦、川崎フロンターレ戦はノーゴールに終わっていた。結果が出ないと選手はどうしても消極的になってしまう。そんな状態の柏の選手たちに、札幌の超攻撃的マインドが良い影響を与えたようだ。
札幌の猛攻に曝され、前半の31分に2点差を付けられてしまった柏としては、攻めに出る以外に方法はなかった。引いて守ったとしても札幌の攻撃を耐え続けるのは難しい。それなら、柏は攻めにいくしかない。そして、実際に攻めに出てみると、札幌の守備が手薄だったこともあって、柏はそれまでの得点不足が嘘のように4ゴールを決めて、後半のアディショナルタイムには4対4の同点に追いつくことができたのだ。
この試合を経験したことで、おそらく柏の選手は攻めに行くマインドを思い出したことだろう。もし、これが転機になって柏がしっかり点の取れるチームに変貌したとすれば、それもまたペトロヴィッチ監督の功績の一つになるのかもしれない。