■秋葉体制初の無得点で9試合ぶり敗戦

 後半開始とともに、秋葉忠宏監督が動く。MFホナウドを下げてMF白崎凌兵を送り出す。12節の栃木SC戦で前半開始早々に負傷交代した白崎は、4試合ぶりの出場だ。

 さらに54分、西澤に代えて中山を投入する。62分にはテンポ良くワンタッチパスがつながり、中山が右サイドから抜け出す。ペナルティエリア内から右足で狙うが、シュートはクロスバーを越えていった。

 79分には右サイドで直接FKを得る。中山がゴール前へ送り、CB井林章がヘディングシュートを放つ。これも際どく左へ逸れていく。

 清水からすれば、ジリジリとした展開である。このまま攻めていれば点を取れるという雰囲気はあるものの、勝ちパターンから遠ざかっている気配も漂っている。

 87分だった。清水にとって右サイドからロングスローを入れられ、ゴール前が混戦状態となる。浮き球に素早く反応したのは千葉のMF米倉恒貴で、至近距離からジャンピングボレーシュートを決められてしまった。これが決勝点となる。秋葉体制では初のリーグ戦無得点で、清水は9試合ぶりの黒星を喫してしまった。

 試合後のフラッシュインタビューに臨む指揮官は、厳しい表情を浮かべていた。「まだまだワンプレーの重みが分かっていない」と切り出すと、「89分いいプレ―をしても、たったワンプレーで、ボックス内でボールが弾む? ああいうぬるさがこういう順位にいると思いますので」と続ける。ロングスロー後の混戦で、相手に先んじてクリアできなかったことを厳しく糾弾した。

 3日後には首位のFC町田ゼルビアとの直接対決が控える。町田はレノファ山口FCを2対0で退けており、両チームの勝点差は「11」に広がった。

「勝点を取れないなんて我々のクラブではありえないですから、もう2度とないように。こんなことをしたら、3日後の町田戦でいいようにやられますから、全員でもう一度性根を叩き直してやりたいと思います」

 指揮官は最後まで厳しい表情を崩さず、選手たちに奮起を促した。

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