■思い出す30年前の試合
鈴木はいつものように熱くプレーを続けていたが、土居聖真が入ってくるとしばらくして、73分、ピッチに座り込んでキャプテンマークを土居に渡した。
ジーコともにこの記念試合のポスターの顔だった鈴木は十分に役割を果たした。
30年前、1993年5月15日夜、国立競技場の開幕戦はヴェルディ川崎vs横浜マリノスだった。観衆59626人。200人ものフォト・カメラマンが集まっていた。翌16日の午後、カシマサッカースタジアムで行われたのが、鹿島アントラーズvs名古屋グランパスエイトだった。「ジーコvsリネカー」とも言われた戦いはジーコの圧勝だった。5-0。ジーコのハットトリック、2発のアルシンドがブレイクした。ジーコの作戦の一つだった長い芝生に名古屋は何もできなかった。
試合は18時には終わったのに、長い渋滞に巻き込まれて、東京に戻ったのは深夜だった。
30年後の国立競技場での試合は2-0。満員にはならなかったが56020人が観戦した。
インタビューを終えた鈴木が笑顔でファンに応えていた。