鈴木優磨はレフェリーを睨んでいた。鹿島のチームメイトに祝福されながら。
鈴木はセンターサークル付近に戻ってからも、レフェリーのそばで人指し指を天に突き上げていた。
VARとレフェリーの裁定によって「最初のゴール」を取り消された不満を鈴木はレフェリーに真っ向から現した。
12分、取り消された鈴木のヘッダーによるゴールは、「攻撃側にファールの可能性」とスクリーンには表示され、映像も流れたが、微妙なものだった。鈴木が稲垣祥を腰でブロックして倒したというだが、樋口雄太がコーナーキックを蹴る前で、「説明はあったがよくわからない裁定で」(鈴木)、コーナーの蹴り直しで試合が再開された。
エルボーや頭突きといった悪質なものなら、VAR以前から処罰の対象になったが、インプレー前の駆け引きの押し合いでゴールが取り消されるのは、今後に課題を残した。選手もどこまでがセーフか、戸惑うことになるだろう。
鈴木には「あれくらいで」という思いがあったのだろう。
29分に再びヘッドでゴールを決めると、どうだと言わんばかりに、レフェリーに視線を送った。
イエローカード級の鈴木の視線だったが、レフェリーは黙殺した。