■サッカーと政治

 アルゼンチンの大会。そして、ラプラタ市ということで僕が思い出したもう一つの大会は、2011年にアルゼンチンで開催されたコパ・アメリカだった。

 この大会では決勝戦だけはリーベル・プレートのスタジアムだったが、メイン会場はラプラタ市のエスタディオ・ウニコだった(英語ではユニーク・スタジアム。現在は、「エスタディオ・ウニコ・ディエゴ・アルマンド・マラドーナ」と呼ばれる)。

 このスタジアムは1990年代初頭から建設計画が動き出していた。だが、完成は2003年までずれ込んでしまった。原因は、建設を進めるブエノスアイレス州政府と連邦政府の対立だったと言われている。

 州政府は左派の正義党(ペロン党)で当時の連邦政府が右派の急進党だったからだ。その後、州知事だった正義党のエドゥアルド・ドゥアルデが連邦政府の大統領となったことでスタジアム建設は一気に進んだ。

 現在の大統領も正義党のアルベルト・フェルナンデスだ。だが、2015年の大統領選挙では一時的に右派が大統領職を取り戻したことがある。その時の右派の大統領は元ボカ・ジュニオルス会長だったマウリシオ・マクリだった。

 歴史的に見るとその他にも元サッカークラブの会長だった大統領は何人もいる。アルゼンチンでは、政治とサッカーはかなり緊密な距離にあるのである。

 U-20ワールドカップのアルゼンチン開催で、僕の頭の中には過去の大会の記憶がブルブルと回っているのである。

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