■「メッシ後」への動き
こうして、ユースチームをベースにフル代表を強化するという流れができていたのだが、U-20アルゼンチン代表は2007年のカナダ大会での優勝を最後に優勝から遠ざかり、最近ではベスト4にすら残れなくなってしまっていた。そして、ついに2023年大会では南米予選の決勝ラウンドにすら残れなかったのだ。
アルゼンチンは、昨年のカタール・ワールドカップで36年ぶりの優勝を飾ったが、タイトル獲得に大きく貢献したメッシはもうすでに35歳。アルゼンチンが今後も世界で戦っていくには「メッシ後」を真剣に考えなければならないのだ。
そのためにも、開催国枠であったとしてもU-20ワールドカップにはぜひとも出場したかったのだろう。「地元開催」ということで強化を進めれば、当然、ハビエル・マスチェラーノ監督率いるU-20アルゼンチン代表が優勝することは期待できる。そして、それが将来のアルゼンチン代表の強化につながることは間違いない。
そこで、AFAのクラウディオ・タピア会長も思い切った決断をしたのだろうし、昨年のワールドカップの盛り上がりもその動きを後押ししたのだろう。そして、アルゼンチン政府にも、それを政治的に利用したいという意図があったのかもしれない。
インドネシアと同じように、アルゼンチンでも大統領選挙が今年の10月に予定されている。