■欧州で先に起きていた現象
ポゼッション型からカウンター型優位に……。これは、ヨーロッパのサッカー界では、日本より数年前に起こった現象である。2010年頃まではFCバルセロナが圧倒的な強さを誇り、代表レベルでもスペイン代表がEUROとワールドカップの「3連覇」を達成。「ティキタカ」が一世を風靡した。
そんなポゼッション志向は永遠に続くのかと思われたが、チャビ・エルナンデスとアンドレス・イニエスタの退場とともにバルセロナの優位は崩れ、代わってドイツのクラブを中心にカウンタープレス(ゲーゲンプレッシング)がたちまちのうちに各国に普及。カタール・ワールドカップでも見られたように、代表レベルでもカウンタープレスが主流になっていった。
最近の日本では「日本のサッカーとヨーロッパのサッカーは別物」などと言われることが多くなってきたが、それも「カウンタープレスのサッカーが主流となってきたヨーロッパに対して、日本ではまだポゼッション型優位が続いている」ことを指しているのではないだろうか。
その意味では、2023年シーズンのJリーグで顕著な“カウンター型優位”は、ようやく日本にもヨーロッパの潮流が及んできたことの表れなのかもしれない(もちろん、そのプレッシングの強度には大きな差はあるのだが……)。