■新たなスタイルは現れるか
もっとも、僕はヨーロッパでの傾向がすべて正しいという意見には必ずしも与しない。すべて、ヨーロッパの真似をしていればいいわけでもないだろう。
そもそも、プレッシングのサッカーというものが、長期的視点から見てサッカーというスポーツにとって進歩や発展を意味しているのかというと疑問に思わざるをえない。
互いに前線から激しくプレッシングをかけてボールを奪い合う肉弾戦のようなプレーがサッカーのエンターテインメント性を高めるとは僕には到底思えない。やはり、テクニックとインテリジェンスを駆使してボールを動かすことこそがサッカーというスポーツの最大の魅力のはずだ。
いずれは、ヨーロッパでもカウンタープレスを打ち破る新しい、よりポジティブなスタイルが姿を現わすことだろう。
パスの精度を高め、同時にパス・スピードをさらに上げることによって前線からのプレッシングをかわすことができれば、ボールを動かす美しいサッカーで勝利することができるのかもしれない……。
そんな遠い将来の話は措いて、“カウンター型優位”で始まった今年のJリーグで、ポゼッション志向のチームがこれからどう立て直していくのか、とりあえずは注目したいものである。