■Jリーグにも多い候補者たち
いずれにしても、キリンチャレンジカップの2試合を通じてサイドバックの攻撃参加はうまく機能しなかった。そこで、「サイドバック問題」が注目を集めることになった。
サイドバックが中盤でビルドアップに関わるやり方そのものを見直すべきだという見方もある。
そうした戦術はチームとしてトレーニングをする機会が少ない代表チームでは難しいというのだ。まして、対戦相手のレベルが高くなればなるほど、サイドバックの変則的な動きは難しくなる。少なくとも日本が安定して中盤でボールを保持できる状態でないと、サイドバックに攻撃的な役割を求めるのは難しいのかもしれない。
しかし、これは3年半後に完成させて、日本チームの攻撃のバリエーションを増やすために選択したことなのだ。なんとか早く、新しい戦い方のコンセプトを浸透させてもらいたいものだ。
攻撃のビルドアップにも関与するサイドバック……。それを実現するためには、サイドバックの人選を見直すべきかもしれない。つまり、クラブでもビルドアップに関わるプレーに慣れている選手を入れることだ。
たとえば山根視来は昨年のワールドカップでもメンバー入りし、コスタリカ戦でプレーしているので、再び招集しても不思議ではない。その他、浦和レッズでサイドバックとしてもアタッカーとしてもプレーしている明本考浩も招集していい。さらに、サイドバックの攻撃参加がチーム全体に浸透している横浜F・マリノスのサイドバック(右サイドの松原健や左サイドの永戸勝也)も有力な候補だ。
もちろん、国際試合の強度の高さを考えれば、ヨーロッパのクラブでプレーしている選手を優先すべきだという考え方もあるだろう。
だが、とりあえずサイドバックの攻撃参加というコンセプトをチームに定着させるまでは、Jリーグの選手であっても、クラブでそうしたプレーをしている選手たちを入れておくことに大きなメリットがある。
あるいは、もともとアタッカーである旗手怜央(セルティック)は川崎フロンターレ時代にサイドバックとしてもプレーしており、セルティックでもサイドバックとしてプレーして高評価を受けたことがある。サイドバックをオリジナル・ポジションとしながら攻撃のビルドアップに関わらせるにはうってつけの人材だ。