■足りない「時間」

 新しいやり方が浸透しにくいのは、トレーニング時間が足りないからだ。

 代表チームには、時間をかけて戦術を浸透させるだけの時間はなかなか与えられない。3月のキリンチャレンジカップでは、集合してすぐに試合というスケジュールだった。

 だが、次のキリンチャレンジカップが開催される6月はヨーロッパのシーズンが終了している時期だから、早めにキャンプに合流できる選手も多いはずだ。戦術確認のためにもう少し時間をかけられる。

 そして、最大のトレーニング機会は2024年の1月にカタールで開催される予定のアジアカップだ。決勝まで勝ち進めば3週間以上の合宿となり、トレーニングで新戦術を落とし込み、それを実戦でテストすることができる。

 もちろん、アジアカップはタイトルマッチなので結果が求められるが、日本代表にとってはワールドカップ直前合宿以外で長期にわたって選手たちを拘束できる唯一の機会なのだ(大陸選手権なので、日本側に選手の拘束権がある)。

 しかも、アジアの相手ならサイドバックがビルドアップに関わる戦い方は非常に効果的なので、アジアカップこそ新しいやり方を定着させる最高の機会になるはずだ。

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