■開幕ダッシュは必須ではない?

 ディサロのファインゴールで1対1とした清水は、ギリギリで敗戦を免れることができた。しかし、またしても勝利をつかむことはできなかった。

 過去5シーズンに自動昇格したチームの、開幕3節の結果を振り返ってみる。

 2022年優勝のアルビレックス新潟は、開幕から3試合連続で引分けた。初勝利は5節だった。一方、同年2位の横浜FCは3連勝の好スタートを切った。連勝は「4」まで伸び、13節まで不敗街道をばく進した。

 21年優勝のジュビロ磐田は、1、2節を落とし、3節で初勝利をつかんだ。同年2位の京都サンガF.C.は、3節を終えて1勝1分1敗だった。

 20年は新型コロナウイルス感染症が拡大し、2月下旬の1節を終えてリーグ戦が中断された。再開されたのは6月下旬なので、2節から4節までの3試合を抜き出すと、優勝した徳島は1勝1分1敗だった。開幕節に勝利していたので、4節を終えた時点の成績は2勝1分1敗である。

 同年2位のアビスパ福岡は、再開初戦を引分け、3、4節は連敗した。4節終了時点では1勝1分2敗で黒星が先行した。

 19年優勝の柏レイソルは、開幕から4節まで白星を並べた。同2位の横浜FCはスロースタートで、開幕節と2節を落とし、3節で初勝利をあげた。その後もなかなか調子に乗り切れず、前半戦は一度も白星が先行することはなかった。

 18年優勝の松本山雅FCは、かなりのスロースタートだった。開幕から3試合は引分け、引分け、敗戦と、勝利をつかめずなかった。このシーズンの松本は、ホームスタジアムのアルウィンが芝生の張替えで使用できず、開幕から6試合が長野県外で開催された。スタートに躓いたのは、その影響も大きかった。

 同年2位の大分トリニータは、開幕3試合を1勝1分1敗のイーブンで終えた。その後は11節まで8戦負けなしと、勝点と積み上げていった。

 話を今シーズンの清水に戻す。

 開幕節は水戸ホーリーホック、前節は昨シーズン3位のファジアーノ岡山、そして今節が長崎と、難しい相手との試合が続いたのは間違いない。3試合連続のドローも、悪くないと言うことはできる。過去の昇格チームを見ても、スタートダッシュが必須でないことは分かる。

 気になるのは今後の日程だ。清水はルヴァンカップに参加するため、8日に川崎フロンターレとのグループステージ第1節を消化し、12日にここまで3連勝で首位の大分と相まみえる。その翌節は磐田との静岡ダービーだ。

 ここからさらに重要な試合が続くことを考えると、“目覚め”が求められるのは確かだ。3戦負けなしをポジティブにとらえることはできるが、ギアを上げる必要があるのは間違いない。

【その(2)へ進む】
  1. 1
  2. 2
  3. 3