■J1昇格候補の磐田と清水は勝利なし
戦国J2の予感が、早くも漂っている。
2023年シーズンのJ2リーグが2月25、26日に開催された。4試合が行われた25日、J3から昇格した藤枝MYFCがV・ファーレン長崎を2対0で退けた。所属選手のほとんどがJ2での出場経験を持たないチームが、J1昇格候補の長崎に快勝したのだった。藤枝はモンテディオ山形、大分トリニータと並ぶ連勝スタートである。
敗れた長崎は連敗だ。24年の新スタジアム完成を控えてJ1復帰が至上命題となっているなかで、苦しいスタートとなっている。
ジュビロ磐田と清水エスパルスも、勝利をつかんでいない。磐田はレノファ山口FCと引分け、1分1敗だ。清水は水戸ホーリーホック、ファジアーノ岡山を相手に2試合連続のスコアレスドローである。
柿谷曜一朗が12シーズンぶりに復帰した徳島ヴォルティスも、1分1敗のスタートだ。開幕戦は大分、今節はヴァンフォーレ甲府と、力のあるチームとの対戦が続いたのは事実だが、ベニャート・ラバイン新監督のもとでリスタートをはかっている。それだけに、早く勝利がほしいところではある。
J1昇格候補では、ベガルタ仙台が勝点3をつかんだ。伊藤彰監督のもとで戦力を充実させた23年型モデルのチームが、シーズン初勝利をゲットした。
昨シーズンの「堅守継続」と「攻撃力アップ」をテーマとする栃木SCとのホームゲームは、前半から辛抱強さを問われる展開となる。決定的なシーンは19分のFWホ・ヨンジュンのヘディングシュートくらいで、伊藤監督は後半途中から交代カードを切っていく。選手の立ち位置を変え、システムも変更しするが、栃木のゴールを破ることはできない。仙台にとっては過去5連勝と相性のいいカードだが、この日は勝利の気配が漂ってこない。
0対0のまま最終盤へ突入していくなかで、90分に試合が動く。仙台が、ついに、動かした。
この試合でMVP級の働きを見せたMFエヴェルトンが、敵陣中央で前を向いたタイミングに合わせて、途中出場のFW山田寛人が左サイドから内側へ入ってボールを受ける。すぐにFW中山仁斗へつなぐと、背番号9はゴール前へソフトタッチのクロスを入れる。これをMF遠藤康がDFと競りながらワンタッチで落とすと、ゴール前へ侵入していた山田が右足のワンタッチシュートでネットを揺らした。
仙台にとって今シーズンの初ゴールは、勝利を呼び込む決勝弾となった。