■右サイドのストロングポイント
だが、その中村は2020年を最後に引退。後継者と目されていた大島僚太は負傷続きで絶対的な戦力とはなれなかった。そんな中で、チームの攻撃を引っ張る立場になったのが右サイドを主戦場としながら、フリーマンとしてピッチ内のあらゆる場所に顔を出して、その圧倒的なボールキープ力を生かしてゲームを作る家長昭博だった。
この間、頭角を現してきた若手選手が何人もいたが、守田英正、三笘薫、旗手怜央、そして田中碧は次々と海外に羽ばたいていってしまった。
中村が引退してから、川崎は次第にロングパスを多用するようになってきていた。持ち前のパス・ワークでボールを保持。相手チームの守備を引き出したり、また一方のサイドに寄せたりしながら、逆サイドにスペースができると、そこを1本のロングボールでえぐってしまう攻めだ。
また、家長という絶対のキープ力を生かして、右サイドバックの山根視来がオーバーラップやインナーラップを使って相手陣内のペナルティーエリアのいわゆる「ポケット」と呼ばれる位置まで進出。さらに、そこに右のインサイドハーフの脇坂泰斗が絡む攻撃も2021年シーズンには非常に有効だった。
だが、今シーズンはそうしたこれまでに有効だった形があまり機能しなかった。ボールをつなぐ技術は圧倒的だったし、山根も攻撃参加を試みる。だが、しかし、それが必ずしも得点につながらないのだ。