■畳みかけられなかった神戸戦
第33節の神戸戦は、その典型のような試合だった。
前半開始5分くらいから、川崎はボール・ポゼッションで神戸を圧倒的に上回った。DFラインやボランチのジョアン・シミッチから中盤に付けるパスが速く、また受け手がうまく体を開いて良い形でボールを受けるので非常にスムースにボールが動き、左サイドハーフのマルシーニョがドリブルを仕掛け、そして、左サイドバックの登里享平が追い越す動きを見せる。
攻撃にスピードがあるので、相手はスライドしながら対処することが難しくなる。
一方、ボールを右に展開すると、家長がトップの小林悠や逆サイドのマルシーニョをターゲットにクロスを入れる。
こうして、何度もチャンスを作った川崎は20分に先制に成功。右サイドでつないだ後、山根のパスから家長のクロスをマルシーニョが止めて、ボールがバウンドするところをうまく押し込んだ。
ここまでは順調だった。
昨シーズンまでの川崎なら、ここで畳みかけるように攻撃を仕掛けて2点目、3点目を奪って一気に勝負を決めてしまったことだろう。
だが、今シーズンはリードした後に攻撃が鈍化してしまうことが多かった。
もちろん、先制ゴールの後も川崎は攻めの形は作った。CKからのチャンスもあったし、小林が相手DFからボールを奪った場面もあった。だが、結局は守り切られてしまった。