■横浜FMか、川崎か
10月29日に行われたJ1リーグ第33節。VAR判定の結果、与えられたPKのチャンスを決めた川崎フロンターレは2対1のスコアでヴィッセル神戸を振り切ってホーム最終戦で勝点3を確保。「奇跡の逆転優勝」への望みを最終節につないだ。
横浜F・マリノスが優勝に王手をかけながら、残留争いの渦中にあるガンバ大阪、ジュビロ磐田に連敗。その間に川崎はしぶとく連勝して勝点差を2ポイントに縮めていた。第33節で横浜FMはようやく覚醒し、浦和レッズに4対1で大勝したものの勝点差は変わらず、優勝の行方は最終節まで持ち越しとなった。
僕は、今シーズン開幕前の各誌の企画で「川崎の優勝」を予想していたので、10月はその川崎に忠誠を尽くそうと思って優勝決定の可能性がある横浜ではなく川崎の試合を追い続けてきた(偶然なのか、この間、両チームの試合は同日に等々力陸上競技場と日産スタジアムでほぼ同時刻に行われたので、どちらかを選ばなければならなかった)。
しかし、この神戸戦も後半開始早々、小林祐希に直接FKを決められて同点に追いつかれて非常に難しい試合となった。それでも、なんとか勝点3をゲットしたあたり、今シーズンの川崎を象徴するような試合だったような気がする。
神戸との試合。川崎は前半は神戸を圧倒して、20分には先制ゴールも決まった。だが、その後、追加点が取れないまま時間が経過すると次第に攻撃の鋭さが消え、次第に神戸が形を作り始め、後半に入って攻勢を強めてきた神戸に追いつかれるというゲーム運びの拙さがあった。しかし、それでも諦めずに攻撃の圧力を増して、残り時間が少なくなった場面でPKを決めてなんとか勝利を手繰り寄せたのは川崎の粘り強さを示すもの。
この辺りが、いかにも今シーズンの川崎らしかったのだ。