日本に初めて誕生したサッカーリーグがある。女子プロ選手によりWEリーグである。10月には2シーズン目となる2022/23シーズンが開幕した。日本サッカーの発展のために大きな期待がかかるWEリーグの高田春奈チェア(※「高」の文字は正しくは、はしごだか。以下、略)に、サッカージャーナリスト・大住良之が話を聞いた。
■盛り上がりを見せた開幕戦
2シーズン目のWEリーグ(日本女子プロサッカーリーグ)が開幕した。
10月22日(土)、23日(日)の開幕節には5試合が行われ、マイナビ仙台レディース対ちふれASエルフェン埼玉は3-1、日テレ・東京ヴェルディベレーザ対アルビレックス新潟レディースは1-0、INAC神戸レオネッサ対大宮アルディージャVENTUSは2-0、三菱重工浦和レッズレディース対AC長野パルセイロレディースは3-2、そしてサンフレッチェ広島レジーナ対ジェフユナイテッド千葉レディースが2-1。すべてホームチームが勝利を収めた。
埼玉スタジアム2002で行われた浦和×AC長野は4604人の入場者を集め、5試合合計で1万3695人、1試合平均2739人は、前シーズンを通じての1試合平均入場者1560人を大きく上回った。その盛り上がりのなか、昨季優勝のI神戸ではエースのFW田中美南が左からのクロスを受けてダイナミックなダイビングヘッドで先制点。男子サッカー顔負けの迫力満点のゴールがファンを沸かせた。
10月29日、30日に行われる第2節には、第1節に試合がなかったノジマステラ神奈川相模原もS広島Rとのアウェーゲームで今季初登場。EL埼玉とAC長野もホームでの新シーズン初戦を迎える。
「世界一の女子サッカーを」「世界一アクティブな女性コミュニティへ」そして「世界一のリーグ価値を」という3本のビジョンを柱に、昨年スタートを切ったWEリーグ。しかしその1シーズン目はコロナ禍の影響もあって入場者数が伸び悩み、クラブ経営を圧迫した。9月に2代目理事長(チェア)に就任したばかりの高田春奈さんに、2シーズン目の開幕直前に話を聞いた。
「ジャパネットたかた」の創業者・高田明さんの長女で、2018年にJリーグのV・ファーレン長崎の役員となり、2020年には父の後を受けてV・ファーレンの社長を務めてきた高田さん。ことし3月にJリーグの常任理事に就任、同時に日本サッカー協会の理事職にも就いた。サッカー界での活動はまだ5年に満たないが、ビジネスの世界で築いてきたその見識と実行力は、WEリーグ、女子サッカーにとどまらず、日本のサッカーに大きなものをもたらすと期待されている。(取材:2022年10月20日)