川崎フロンターレが、力強さを取り戻している。第28節での2位のサンフレッチェ広島相手の快勝は、その象徴だ。大勝は偶然ではなく、導かれたものであった。3連覇へ向けてスパートをかける川崎の戦略を、サッカージャーナリスト・後藤健生がひも解く。
■戻ってきた「強い川崎」
9月10日に行われたJ1リーグ第29節で、川崎フロンターレがサンフレッチェ広島を相手に4対0と圧勝した。
今シーズンは、守備ラインに負傷者が相次いだことなどでかなり苦しいシーズンとなっていたものの、そんな中でも丹念に勝点を拾いながら横浜F・マリノスにくらいついてきた川崎。
ようやくジェジエウも戻って最終ラインが安定。8月に入ってからは首位横浜FMとの直接対決を2対1で制すると、アビスパ福岡戦、サガン鳥栖戦ではいずれも4ゴールを奪って快勝。ようやく、「強い川崎」が戻ってきたところだった。
だが、第28節の湘南ベルマーレ戦では連戦の疲れで動きが重く、厳しいプレッシャーをかけてくる湘南を相手に苦戦。後半アディショナルタイムの阿部浩之のゴールで逆転負けを喫してしまう。
この結果、横浜FMと川崎の消化試合数が並んだ時点で首位、横浜FMと川崎の勝点差は3ポイントとなった。得失点差でも横浜FMが大きく上回っている状況を考えれば、J1リーグ3連覇を狙う川崎としては勝点を1つも落とせない状況が続いている。
そして、第29節ではこのところ絶好調でリーグ戦だけで6連勝。YBCルヴァンカップも含めれば公式戦8連勝の広島との対戦を迎えた。逆転優勝に向けて、川崎にとっては大きな関門ということができた。