■試合を面白くした広島の「強さ」
それは、なによりも広島というチームが非常に強いチームだったからである。
広島は、もともと粘り強く、集団で戦うチームだったが、かつてはドイツ・ブンデスリーガのいくつもの強豪クラブで指揮を執り、ドイツ代表でもアシスタントコーチを務めた経験のあるミヒャエル・スキッベ監督が就任した今シーズンは、ドイツ人指揮官らしいハイプレスからボールを奪ってショートカウンターでしとめるスタイルを確立していた。
ボールの奪い方が組織的で洗練されているため、奪った瞬間に複数のパスコースをつくれているので、早いタイミングで攻撃を仕掛けられるのである。
川崎も、当然、この広島のサッカーを分析・研究して臨んだはずだ。なにしろ、前週にはミッドウィークの試合はなく、広島戦のために1週間の準備時間が与えられたのだ。
川崎にとっての最大のテーマは「広島の高い位置でのプレッシングをどのようにかいくぐるのか」だった。
実際、キックオフ直後は両チームのプレッシャーの掛け合いで、非常にインテンシティの高い試合となった。