■「万能型」の町野が代表で生きる道とは?

おなじみとなった「忍者ポーズ」  (C)SHONAN BELLMARE

 すっかりお馴染みとなった「忍者ポーズ」のゴールパフォーマンスは、生まれ故郷への思いをきっかけとしている。三重県伊賀市は「忍者の里」として知られており、「地元の人たちが喜んでくれたら」と始めたものだ。

「地元には家族がいますし、顔見知りの人もたくさんいます。応援してくれる人、連絡してくれる人もたくさんいるので、その人たちのために頑張りたいという思いがあります」

 インタビューの最後に、かなり強引な質問をしてみた。

「伊賀忍者と町野選手のプレーにつながりはありますか?」と聞く。町野は「忍者ですか……?」と困惑の表情を浮かべつつ、「ううん」とうなりながら答えをひねり出してくれた。

「マークを外すところですね。忍法隠れ身の術で(笑)」

 日本代表の前線を見渡すと、町野は独自の立ち位置にいる。

 最前線で起点になる大迫勇也や上田綺世とも、背後への抜け出しを得意とする古橋亨梧浅野拓磨らとも、一緒に分類されることはない。大阪・履正社高校の先輩でもある林大地とも、プレースタイルは違う。

 本人が言うとおりに「万能型」だ。ゴールパターンが多彩なだけでなく、複数のポジションに適応する期待感もある。

 あとは、町野自身が結果を残していくだけだ。「忍者ポーズ」を見せるほどに、カタールW杯は近づいてくる。

プロフィール まちの・しゅうと 1999年9月30日生まれ、三重県伊賀市出身。湘南ベルマーレ所属のFW。185センチ、77キロ。履正社高校から横浜F・マリノスに入団。2019年ギラヴァンツ北九州に期限付き移籍。J3リーグで8ゴールを挙げチーム得点王に。2020年1月、北九州に完全移籍。J2リーグで7ゴールを記録し、同年12月に湘南ベルマーレに完全移籍を果たす。2022年7月に行なわれたEAFF E―1サッカー選手権2022でサッカー日本代表に初選出され、3得点を決め、大会得点王に輝く活躍で日本を9年ぶりの優勝に導いた。

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