■惜しかった場面を楽しんでいたベンチメンバー
シュートを決められなかった山原に、ゴール裏でウォームアップをするベンチメンバーたちからすぐ声がかかった。
「れおーん!」と次々に呼びかける彼らの声は、切羽詰まっていなかった。惜しかった場面を楽しんでいた。
山原の笑みも、それと同じ部分があったからこそ悔しさと同時に自然と表れたのだろう。
清水は、試合や自分たちのプレーを楽しめるようになっていた。苦しい時間帯でも自分たちの戦い方を捨てずにやり続けることができるようになったこと同じように、その部分も苦しくても変わらなかった。それこそが、下降線を辿らないだろう、と思わせる様々な要素の中で最も印象強かった。
笑いながら声を出して悔しがった山原に、ゴール裏の選手たちから再び声がかかる。
「繰り返していこう!」
「いいボール蹴れてるよ!」
彼らの声のトーンも、その方向を見た山原の顔も、すっかり気持ちが切り替わっていた。
試合後、山原はこうも語った。
「チームの雰囲気が良い。ベンチにいる選手も声を出してくれている。今は誰が出てもチームとしてやるべきことができる状態だと思うし、それが試合になったときの団結につながっている。一体感が増してきている」
清水は正しい方向に進んでいる。
苦しんだからこそ、その印象がより際立った。
■試合結果
清水エスパルス 1―1 柏レイソル
■得点
8分 チアゴ・サンタナ(清水)
90+4分 武藤雄樹(柏)