■DFが決勝点を挙げられた理由

 横浜を追うチームは好調の2位柏レイソルや3位セレッソ大阪など他にもあるが、戦力を考えると横浜を止める可能性が最も高いのはJ1リーグ3連覇を狙って戦っている川崎ということになる。

 横浜としては、勝って優勝に近づけたいところではあろうが、引き分けで11ポイント差(実質5ポイント差)をキープできればそれはそれで悪い結果ではない。

 一方、川崎は逆転優勝を狙うには勝つしかない。

 そこで、鬼木達監督は71分には小林悠を入れてレアンドロ・ダミアンとのツートップに変更した。システムを、いつもの4-3-3ではなく4-4-2に切り替えたのだ。そして、90分には前線でのプレッシングを繰り返して疲労をためていたレアンドロ・ダミアンに替えて山村和也を投入した。

 山村は本来はDF(センターバック)で今シーズンはジェジエウが離脱していた間はCBとしてプレーしていたが、攻撃的ポジションもこなせるユーティリティ性の高い選手だ。前線でハイボールを競らせるための投入。いわゆるパワープレーである。

 しかし、98分にカウンターを仕掛けた場面で、GKからのパントキックをヘディングで山根視来に合わせた瞬間にDFのジェジエウが脚を痙攣させて動けなくなってしまう。そこで、前線にいた山村を最終ラインに下げて、ジェジエウは最前線に置かれることになった。それが、決勝ゴールにつながったのだ。

 時計が目安の8分を回ったところで、谷口彰悟が右に展開したロングボールを小林が右サイドの家長昭博につないだ。そして、ゴール前の状況を見た家長は落ち着いてファーサイドに入っていたジェジエウに向けて正確なクロスを入れると、ジェジエウは脚を痙攣させていたことが信じられないほど力強いジャンプをして、DFの岩田智輝と競り合いながら強烈なヘディングシュート。そして、このシュートが左のポストを叩いてゴールに飛び込み、川崎が劇的な決勝ゴールを決めて「逆転優勝」に望みをつないだ。

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