「攻撃サッカー」の両者ゆえのミス「2つのアディショナルタイム」のマネジメント【「名勝負」川崎フロンターレVS横浜F・マリノスの裏にあった「3つのポイント」】(1)の画像
長いアディショナルタイムの果てにドラマが待っていた 撮影:中地拓也

 8月7日に行われたJ1・24節の川崎フロンターレ横浜F・マリノスの対決は、名勝負となった。ディフェンディングチャンピオンと現在首位に立つチームの対戦だから当然ではあるが、ゲームが白熱した理由がある。熱戦のポイントを、サッカージャーナリスト・後藤健生がひも解く。

■8分あったアディショナルタイム

 劇的な幕切れだった。

 J1リーグ第24節。等々力陸上競技場での川崎フロンターレ対横浜F・マリノスの試合は、後半のアディショナルタイムに入ってからすでに8分以上が経過していた。後半の途中でレフェリーの木村博之さんが右脚を痛めて、第4審判の佐藤誠和さんに交代するというアクシデントがあったので、長い長いアディショナルタイムとなったのだ。

 試合は1対1の同点のまま進んでいた。そして、川崎フロンターレのジェジエウのヘディングシュートが決まってスコアが2対1となり、横浜がセンターサークルにボールを置いてキックオフをした瞬間にレフェリーのホイッスルが鳴って試合が終了したのだ。

 この試合が始まる前の時点で、首位を走る横浜は勝点が48。そして、川崎は6位で勝点37だった。11ポイントもの差があったのだが、これは“見かけ上の差”だった。川崎は消化試合数が2試合少なかったからだ。もし、直接対決に勝利して勝点差を8ポイント差まで縮めておけば、その後のすべての試合に勝って勝点3を積み重ね続けていけば、勝点2の差に縮まるのだ。

 もちろん、すべての試合に勝つのは容易なことではないが、首位を行く横浜が取りこぼしをすることも十分に考えられる。

 つまり、川崎が勝てば優勝争いは混沌とする。逆に横浜が勝てば川崎との差は14ポイント差まで広がり、実質の勝点差も8ポイント差ということになる。そうなれば、横浜は優勝に大きく近づくことができる。

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