■ブラジルに0対1でもシュート数は4対18
■6月6日/キリンチャレンジカップ2022 日本代表 0ー1 ブラジル代表(国立競技場)
日本の「現在地」が明らかになった。
6月6日に行なわれたブラジル戦は、通算13度目の対戦だった。そのうち10回は複数失点を喫している。直近の対戦だった2017年11月の試合は、1対3で敗れた。相手のコンディションや試合に注ぐ熱量はともかく、ネイマールのPKによる最少失点に抑えたのは評価されていい。
もっとも、内容的には完敗である。
ブラジル相手に接戦を演じたとも言われるが、勝ち筋は見えなかった。シュート数は4対18で、決定機と呼べる場面はない。
0対1で終わったのは、ブラジルが決定力を欠いたからだ。試合開始直後の2分、ルーカス・パケタのシュートが左ポストに嫌われていなかったら、大差のゲームになっていた可能性はある。
序盤から自陣での攻防が続いた。伊東純也、古橋亨梧、南野拓実の3トップも自陣に下がらざるを得ず、「守」から「攻」への切り替わりは深い位置となる。カウンターを繰り出すには距離が遠く、3トップへのサポートも十分ではない。前半はCKからしかシュートを打てなかった。
後半はボールを持つ時間帯も作った。森保一監督も「後半はかなり相手のブロックの中へ入っていき、アタッキングサードにも入っていけた。選手たちが途中でやめていたら防戦一方の試合で終わっていたと思う。前半から我慢してトライすることで、相手も守備に回らないといけない時間を作り、我々の形へ持っていけたと思う」と振り返っている。
ドイツやスペインを相手にしても、ブラジル戦のような試合展開に持ち込めるだろう。しかし、僅差の攻防へ持ち込めたとしても、得点できなければ勝てない。
ブラジルを脅かす場面はなかった。ゴール前でのシュートテクニックに優れる南野が、シュートを打たずに終わっている。古橋はロングシュートを1本打っただけだった。彼らアタッカーがフィニッシュへ持ち込めるシーンを作れるのかは、ブラジル戦で明らかになったW杯への課題である。世界のトップ・オブ・トップが相手でも強度高く守れるが、得点を奪えるまでには攻めきれない、というのが日本の「現在地」だ。