■歴史を感じさせたウクライナの街並み

 この年の6月にすでに翌年のワールドカップ出場を決めていた日本は、信じ難いことかもしれないが、FIFAランキング16位。当時ACミランのエースだったアンドリー・シェフチェンコ(この試合には出場しなかった)を擁するウクライナは39位だった。日本国内では、「格下相手に敗戦」のような扱いをされたに違いない。

 4日前のラトビア戦を取材した翌日にラトビアの首都リガからキエフに移り、足かけ5日間滞在し、有名なディナモ・キエフのスタジアムなども訪ねた。しかし歴史の重みを感じるハンザ同盟都市のリガが、天候も良く、暖かで明るい印象だったのと比較し、キエフは秋の色が濃く、寒さが身にしみた。滞在したホテルは「オリンピスキ・スタジアム」のすぐ近くだったが、試合日には、短時間の歩行でもびっしょり濡れてしまった。

 そんな記憶しかないウクライナ。しかしそこにいまにもロシア軍が侵攻するのではないかと、欧米のニュースは緊迫感をもった報道を展開している。大国が小国に脅しをかけたり、その脅しを大国同士の覇権争いに利用したり…。人類の愚かさは、種が絶滅するまで治らないものなのだろうか。

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