サッカーは無数のディテール(詳細)であふれている。重箱の隅をつつくような、サッカージャーナリスト大住良之の「超マニアックコラム」。今回は、「トータルフットボールの父」について。
■緊迫するウクライナでの思い出
ウクライナ情勢が、なんだか、とても怪しい。欧米系のニュースチャンネルを見ていると、いますぐにでも「第三次世界大戦」が始まりそうな気配だ。
ウクライナにはいちどだけ行ったことがある。2005年の10月にジーコ監督率いる日本代表が東欧遠征を行い、ラトビア、ウクライナと、2つの親善試合を行ったときだ。10月12日、日本代表はキエフに乗り込み、この国のナショナルスタジアムである「オリンピスキ」でウクライナ代表と対戦した。
冷たい雨がふりしきるなかでの一戦。しかも時差7時間の日本でのテレビ中継に合わせて、水曜日でありながら17時(日本時間24時)キックオフにしたため、ほとんど「無観客」といっていい試合。ぬかるんだグラウンドに日本は得意のパスワークを発揮することができず、足腰の強い中田英寿が孤軍奮闘という試合になって、終盤のPKで0-1の敗戦を喫した。